目を開ける。


それは人としてごく自然な動作だ。


だからこそ周囲からしてみれば何の変化もない。


実際内心は驚きでグチャグチャでも、それを悟られることはなかった。


妙に喉が渇いていた。


水分が足りずにカラカラになった唇を動かすとどこか切れたような痛みが走る。



「るるーしゅ」



声が上手くでない。


その口に馴染んでいた筈の名前の発音がどこか滑稽になってしまった。


煩い位どくどくと脈打つ心臓が、まだ自分は生きているのだと教えてくれる。


ならば、これは夢。


こんな最悪な夢、早く覚めてしまえばいいのに。


あの時、こんな状況でそう願ったのを今でも覚えている。


しかし今、そんな願いは絶対に沸き起こらない。


覚めるな。


夢ならば覚めるな。


そうすれば、彼の瞳を見ていられる。


でも、夢じゃないなら。


もしこれが現実ならば。



「ゼロ」



もう、間違わない。



「さぁどうした。俺を撃ってみろ!!!」



スザクはその言葉でははっと笑うと、その手に握っていた銃を投げた。


かしゃんという音を立てて落ちたそれを彼が凝視する。



「な、なんのつもりだ!」


「ねぇルルーシュ。もうこんなことはやめろなんて言わない。ゼロも続けたければ続ければいい。」


「何・・・言って・・・」


「だからお願いだ。」



涙が溢れた。


視界がぼやける。


嗚咽で息が苦しい。


それでも。



「死ぬな・・・お願いだ・・・」











僕に君を殺させないで