「ところで君は本当に『魔王』なの?」
「いや?」
「いやって・・・随分あっさり言うんだね。じゃあなんで『魔王』なんて呼ばれるようになったんだい?」
そう問われて、ルルーシュは目を丸くした。
それから顎に手を添えて、いかにも「考えてます」といったポーズをとったあと、ポツリポツリと語り出す。
「原因は・・・いうなれば先代の『魔王』だな。俺は彼女に助けられて、その礼に彼女の願いを叶えてやると約束した。不老不死だった彼女の願いは『終わりある命を得ること』だったわけだが・・・その願いを叶えてやるのに彼女の不老不死を俺が貰い受けた。もうかれこれ300年以上前の話だな。」
村を一瞬にして地図から消しただとか、モンスターをけしかけただとか。
特にそういうことはしていないが、老いることなく生き続ける内に人間にはそう呼ばれるようになっていた。
先代は『魔女』と呼ばれていたが、その対象が男だった場合に何と呼べばいいのかが分からなかったのだろう。
『魔女』に比べて随分大それた存在になったものだと、当時は笑っていた。
「それで、結局僕のことは覚えていないの?」
「何せ300年以上も生きているからな。いつの出来事が100年前で、いつの出来事が2年前かももう分からん。」
「酷いなぁ〜」
「仕方ないだろう。」
「とにかく責任とってよ」
「横暴とか理不尽とか、そう思わないのかお前は。」
もう一度覆いかぶさろうと動き出したスザクをまた蹴って、ルルーシュは早々にベッドから降りた。
そろそろ日も暮れるころだから夕飯の準備をしなければ。
自給自足の生活の中で、スザクが狩りに出て魚やら肉やらを捕ってきてくれるようになったのは唯一のメリットだ。
よし、今日はシチューにしよう。
その前に、とベッドの上に座ったままのスザクを睨みつけた。
「この家にいたいのなら俺に従え。飯が食いたいなら俺を襲うな。それが嫌なら出ていけ。」
「横暴〜」
「はぁ!?」
お前がそれを言うのか、と声を荒げた瞬間降ってきた影。
飛びつくように覆い被さってきたスザクに押し倒されて、ルルーシュが後頭部を強か打ちつけるまであと1秒。
因みにスザクはあくまで「自称」勇者なので、本業はわかりませんw