押しに弱いところは自らの欠点であると、ルルーシュは自負している。


結局断りきれずに(というよりは有無を言わさない『勇者』の勢いに勝つことができずに)同居を許してしまったのだが、早くも心が折れそうだとルルーシュは悩んでいた。


盛る。


とにかく盛る。


場所を選ばず盛る。


いい加減にしろこの馬鹿がと殴ってもみたがダメージは0だったらしい。



「お前は一体何なんだ。」



ベッドの上で例の如く上に覆い被さってきたスザクの顔を自分の手で押さえながら、更にはそれ以上の接近を拒むように足でスザクの腹あたりを蹴りながら。


思わずそう問いかけていたルルーシュに、スザクはきょとんとした顔で首を傾げた。



「何なんだって、何が?」


「お前は一体ここに何をしに来たんだ。性欲処理か?」


「いやーなんていうか、復讐?」


「・・・は?」



恨まれることをしただろうか。


いかにも覚えがないという顔を浮かべてしまったため、溜息をついたスザクが覆いかぶさろうとする体勢をやめてベッドの上にちょこんと座った。



「2年くらい前かな。僕もう何もかも嫌になってさ、死のうかと思ったんだよね。」


「2年前、2年前・・・」


「その時にたまたま通りかかっただか何だか知らない君が、僕に『生きろ』って言ったんだ。覚えてない?」


「全く。」


「それからどう足掻いても、何度死のうとしても無意識に死なないように動いちゃうし、ついにはこんなことになっちゃうし。」



そう言いながらスザクはポケットから小さなナイフを取り出した。


それを鞘から抜いて己の腕を切りつける。


驚いてルルーシュが声を上げるのだが、その時には既にスザクの腕から滴った血は止まり、傷が塞がりかけていた。


驚異的な治癒力なのか、不死なのか。


そのどちらなのかは分からないが、その光景に目を丸くしたルルーシュはスザクを見つめた。



「それ以来村で僕は化け物扱い。死ねない上に僕をこんな体にした君がとにかく憎くてね、『魔王』が不老不死だって噂は知ってたけどいっぺんマジで殺してやろうと思って。そう思って来たんだけどあまりにも君が奇麗でさー、一目惚れしちゃった★」


「・・・だから、俺に嫁になれもしくは婿にしろ・・・と?」


「そうそう。」


「馬鹿か?」




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