前回から続いてます。
前回に引き続き台無しです。
最終回をギャグに全力変換。

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パレードを盛り上げる音楽。

満足そうに微笑む悪逆皇帝。

口々に憎しみを囁く民衆。

これから行われるのは処刑だ。

皇帝に逆らった者達への処罰。

世界は絶望に満ちていた。



からん、からん・・・。



何かの音が、音楽に混じった。



からん、からん・・・。


「何の音・・・?」

誰かが呟く。

ルルーシュは眉を顰めた。

あれ、こんな予定はなかったはずだが。

しかしただの音でどうにかなるような計画ではない。

これは世界を変える計画だ。

思わず微笑がこぼれた瞬間、誰かが叫んだ。


「ゼロだ!」


民衆と、死刑囚の視線が一箇所に集まる。

ゼロは、立っていた。

死んだとされていた奇跡の象徴。

彼はいつもの仮面を被り、マントを靡かせている。

がらんがらんがらんと音を立てて。

ルルーシュは目を見開いた。

民衆には、彼がゼロの出現に驚いていると思っているだろう。

しかしそれは違うということに、やがて全ての人間が気付く。

明らかに、おかしい。


(なんだ・・・アレはッ!!!!)


ルルーシュが心の中で叫ぶ。

叫びたくもなるだろう。

ゼロは自らのマントに、無数の空き缶を紐で吊り下げていたのだから。

風に靡くマントに合わせて缶が動き、ぶつかり合って派手な音を立てる。

酷く耳障りだ。


(アイツ・・・折角俺が積み上げたゼロのイメージを壊す気か!)


ゼロが走り出した。

がらんがらんと、また音が鳴る。

迎え撃つようにジェレミアが駆け出した。

マシンガンを人間とは思えない動きで避け、KMFをも飛び越えたゼロは、ジェレミアの肩を踏み台にして高く飛び上がる。


(行け!仮面のき・・・)

カン!


「・・・っ!」


内心でかっこよく決めたはずだったジェレミアは、ゼロのマントに括り付けられていた缶が頭に当たり、なんとも情けない音で見せ場を終えてしまった。

ゼロはナナリーの近くに着地し、ナナリーが引き攣った声を上げて身構えたのを無視して、国旗があしらわれたスロープを駆け上がる。

・・・どうしよう。

ルルーシュは対峙したゼロを前にして考えた。

結果、何事も無く計画を進めようと決意する。


「痴れ者がッ・・・!」


懐から取り出したハンドガンは、ゼロの持つ長剣に払い落とされる。

よし、一応はシナリオ通りだ。

ルルーシュは微笑んだ。




・・・が。


「ひぃぃぃいいいいい!!!!」


声を上げたのは、死刑囚として拘束されている扇だった。

彼の足元に、ゼロが持っていたはずの長剣が突き刺さっている。

あれ。

やっぱりおかしい。

ハンドガンを払い落としたまでは良かった。

しかし何故そこで、一緒に剣も投げ捨てたのか。

その剣で、悪逆皇帝ルルーシュは身を貫かれ、憎しみを全て背負って逝くはずだったのに。


「おまたせっ、ルルーシュ!」

「なっ・・・貴様!」


ゼロが仮面を取る。

その顔は紛れも無く。

ナイトオブゼロ。

死んだはずの枢木スザクだ。


「ばッ・・・お前何仮面をとってる!!」

「やだなぁ、これから誓いのキスをするのに。仮面越しじゃあ嫌じゃないか。」

誓いのキスとはなんぞ。


「早く俺を殺せ!」

「嫌だね、これからハネムーンだっていうのに。」


ハネムーンとはなんぞ。


「計画が・・・俺の計画が!」

「結局この前ルルーシュがマリッジブルーになっちゃって結婚式が駄目になったからさ。改めて今日やろうと思って。」


え、マリッジブルー?


「マリッジブルッ・・・あれはナナリーが!」

「ナナリーならもう認めてくれたよ?」

「折角目が見えるようになったので・・・お兄様のウェディングドレスが見たくなってしまったんです。」

「ほぁあ!?」


ああ、確かにその黒髪に純白のウェディングドレスは映えそうですね。

誰かが呟いた。


「け、計画を壊すな!早く剣を拾ってこい!」

「駄目だよ、君は折角の結婚式を無駄にするつもりかい?折角死刑囚の皆さんにも正装で来てもらったっていうのに。」


「お前の仕業か!」

ずっと気にかかっていたのだ。


死刑囚の黒の騎士団の面々が、スーツやパーティードレスを纏った状態で拘束されていることに。



「大体お前その缶っ・・・!」

「あ、これ?ほら、よくあるじゃないか。ウェディングカーに空き缶つけて、それに乗ってハネムーンにいくやつ。あれ魔よけの効果があるんだってさ。」

むしろルルーシュが魔王なのでは?

・・・とは突っ込めない。


「ウェディングカーのレンタルが間に合わなくて。だから僕がウェディングカーになって、ルルーシュを抱えてハネムーンにいけばいいと思ってね。」

「馬鹿がっ!」

「よし、じゃあ行こうか!あ、ちゃんとナナリーの為に後でお色直しするからね。」

「ありがとうございます、お義理兄さま。」

「ナナリィー!!!!?」


ルルーシュを肩に担いで、スザクが走り出す。

からんからんと、また缶が煩く鳴った。



「俺を殺せえええぇえええ!!!」


式に参列(?)した民衆は、ちょっと悪逆皇帝に同情した。




ルルーシュ涙目。