目線が自然と彼を追う。 
 
気がつけばいつも視界には彼がいて、いないと不安が募ってやっぱり彼を探す。 
 
彼はクールだとか言われるけど、それでもやっぱりクラスの人気者。 
 
頭もいいし、何より綺麗だし。 
 
僕の中心が彼であるように、クラス全体の中心が彼だ。 
 
僕だけのものじゃない。 
 
醜い独占欲は棄てようと努力したけれど、なかなか上手くいかないものだ。 
 
 
欲しい。 
 
欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい! 
 
 
その心を野放しにしてるとどんどん視界は色を失っていく。 
 
もうそれ以外いらないって、そう思ってしまう。 
 
僕の目に映る唯一の『色』は彼。 
 
色を求めて、僕の目は辺りを彷徨う。 
 
そして彼を見つけて安堵の息を吐いた。 
 
彼は大勢の学生の中心で微笑んでいる。 
 
そして、彼が僕の視線に気付いた。 
 
目ときょとんとさせて、首を傾げて。 
 
そして微笑んで駆け寄ってくる。 
 
 
「スザク、どうした?」 
 
 
彼の瞳に僕が映る。 
 
 
嗚呼、なんて幸せ。 
 
 
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