「何見てるの?」
彼女の視線はずっと窓の外。
声をかけてもそれが動くことは無くて、どうしようかと頭を掻いた。
過ぎるのは勿論『不安』。
だってあまりにも彼女は僕を見てくれないから。
「もしかして、後悔してる?」
次の瞬間、視界は白に染まった。
顔にぶつかった後ぼとりと下に落ちたのは枕。
ベッドの上で二つ仲良く並んでいるはずのそれの内の一つ。
「・・・後悔、したって言ったら?」
「じゃあこれ以上絶望しないように努力しなきゃね。」
ベッドに近づいて、彼女の肩に手を乗せる。
相変わらず細いなぁ。
そんなことを考えながら押し倒したら、睨まれた。
もちろん見ないフリ。
嗚呼、吸い寄せられる。
「んっ・・・ぁ・・・」
ちゅっと音を立てながら舌を吸い上げると彼女声は途端に甘くなる。
この甘い声、大好き。
熱に浮かされてトロンとした瞳も、苦しげに吐かれる息も。
全部。
「・・・するのか?」
「だって、ほら。初夜だし。」
ヤらない手はないでしょう。
拒否権なんて認めない。
服を剥ぐ。
弱弱しく抵抗する彼女の手が伸びてきた。
「カーテン・・・しめろ。」
「なんで?」
「月・・・見て、る・・・」
「ロマンチストだね。いいじゃないか、見せ付けてやれば。」
いやだと、案の定彼女は首を横に振った。
まったく、困ったお姫様だ。
「じゃあ閉めてもいいけど、その代わり部屋の明かりつけるよ?」
「なんでッ・・・!」
「カーテン閉めたら部屋が真っ暗だからね。せっかく月明かりでしようと思ったのに・・・。」
「・・・性悪。」
そうさ、僕は確信犯。
こう言えば君が先に折れるってことくらい分かってるよ。
全部分かってる。
だって、愛する君のことだもの。
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