ただ、『道具』として生きてきた。




人を殺すための道具。




道具に心はいらない。


邪魔になるだけだから。


ただ命じられるままに人を殺してきた日々。


それは一年前、兄さんと出会って少しずつ変わっていった。


妹に、ナナリーに対する愛情がそのまま弟への愛情に書き換えられた兄さんは僕に優しくしてくれた。


一緒にご飯を作って、一緒に洗濯をして。


頭のいい兄さんは僕に勉強を教えてくれて、理解すればよくできたな、って笑って。


そして頭を撫でてくれた。


その温もりが心地よくて。


でもその生活は兄さんが記憶を取り戻したとき。


『ゼロ』になった日に終わると思っていた。





僕は道具。





兄さんの傍にいるのは、有事のときにすぐ兄さんを殺すため。


心なんていらない。


命令に従い、兄さんの時間を止めるだけ。





「ロロ・・・どうして・・・」





でも、兄さんの時間を止めることなんてできなかった。


僕の中で、兄さんの占める割合が増えていく。


それはいつしか『任務』という言葉を押しつぶしていた。


兄さんの傍にいれば、僕も人間になれるかもしれないって。


そう思えたから。


僕はきっと、人間になれた。





「にいさ・・・は・・・嘘つき・・・だ、よ・・・」





僕も嘘つき。


本当は兄さんも、ここで僕が死ぬほうがいいと思っているかもしれない。


でも兄さんは優しいから。


今なら、きっと兄さんは僕に優しい言葉をかけてくれる。




最後に甘えてもいいでしょう?









この心臓が










生きることをやめるまで。


兄さんの弟でいられて、僕は幸せでした。








ルルはちゃんとロロのことを弟だって言ってくれたよ!
きっとロロもルルのことを疑ってはいないでしょうけど。
これはこれでいいなぁ〜と思ったので。
捻くれているのは管理人の性格故です←
ロロ、よく頑張ったね。