※ルルが女の子です
苦手な方はレッツリターン!




































彼女は誰よりも綺麗だった。

洗練されている身体のパーツ。

襟足がやっと肩につく程度の短い黒髪は艶やかで、風が吹くとふわっと広がるくらい柔らかくて。

その風に乗ってシャンプーの香りがするだけで眩暈を起こしそうになる。

肌は真っ白で、言うなれば陶磁器だ。

感触はなめらかで柔らかくて。

触れたら傷つけてしまいそうな、そんな手触り。

瞳はすごい。

何が凄いってその色が。

破壊力抜群な紫色の瞳。

寝ぼけてとろんとした瞳とか、涙がうっすらと浮かんだ時の輝きとか。

お気に入りは恥ずかしがってるときの、何かに耐えるようなそれ。

何というか・・・何かに目覚めてしまいそうです。

そんな彼女に、ついに僕は。


僕は今夜、告げてしまおうと思います。








青春Syndrome












じっと目を閉じてそんな事を只管に考えていたスザクは、意を決したように目を開ける。

視界に映るのは彼女の顔、と思いきや。

え、とスザクは小さく声を漏らしてしまった。

厚い装丁の茶色い本。

見えたのはそれの表紙、裏表紙、そして背表紙。

要するに、目の前で本を開かれているのだ。


「なんだ、起きたのか?」


ひょいっと彼女が本を持ち上げたらしく、視界からそれが消えた。

その代わり見えたのは覗き込んでくる彼女の顔だ。

スザクの今のポジションといえば、ソファーの上に横になり、頭を彼女の柔らかい太ももに乗せている状態。

膝枕というやつだ。


「頭痛くないか?」

「え、何で?」

「何で急に膝枕なんて・・・私の膝なんか気持ちよくないだろうに。」

「と、とんでもない!」


慌てて否定すると、彼女・・・ルルーシュは「変なヤツ」と呟いて苦笑した。

胸が熱くなる。

ドキドキと心臓が脈打って、一気に顔に熱が集まった。

言われて急に意識してしまったのだ。

自分の頭の下に、彼女の太ももがあるということを。


「お前、熱でもあるのか?」


白い手が茶色で癖の強いスザクの前髪を掻き分けて額に乗せられる。

温かい手。

いつも低体温な彼女にしては珍しい。


「あの・・・さ、ルルーシュ。」


目的を忘れてはいけない。

思い切って切り出せば彼女はこてんと首を傾げる。


「その・・・」

「何だ、はっきり言え。」

「ちょっと待って。こ、心の準備が。」

「何だ?」


怪訝そうに形のいい眉が眉間により、長い睫毛に縁取られた瞼が少しだけ伏せられる。


「けっ・・・」

「毛?」

「けっこ、ん・・・してくれませんか。」

「はぁ?」


心底呆れたような、そんな顔。

血の気が一気に下がる。

彼女の動く唇が何を馬鹿なことを、と言わないことを祈るばかりなのだが。


「それで?」

「・・・へ?」


思わず間の抜けた返事をしてしまった。

結婚してくれませんか。

誰が聞いてもそれはプロポーズだ。

それで?の意味が分からない。


「えっ、と・・・」

「それで、結婚して?お前は何をしてほしいんだ?」

「えー・・・っと、膝枕、とか・・・」

「今現在しているだろうが。」

「味噌汁を作ってほしいなー・・・とか。」

「毎朝作ってやっているだろう。お前好みの和食メニューを。」

「一緒に寝たいなー・・・とか。」

「ベッドが一つしかないんだ。一緒に寝なかったことなんて無いだろう。」

「その・・・抱きたいなぁ・・・とか。」

「・・・いつも私の意見なんてまるで無視して盛ってるだろうこの馬鹿が。」


最後の最後で耳まで赤くなってしまったルルーシュは可愛いと思う。

可愛いのだが、とスザクは頭を悩ませた。

要するに、プロポーズは受けてもらえないということなのだろうか。

もし受け入れてもらえなかった場合、今のこの関係すらも崩れてしまったら。

そう考えるともう死んだほうがマシかもと思うくらい絶望してしまう。

一方のルルーシュは何かを言いかけて、一回口を噤んで視線をそらした。

それからもごもごと、本当に小さい声で呟く。


「結婚してもしてなくても・・・同じじゃないか。」

「そ、だけど・・・」

「今の生活が不満か?」

「そうじゃない!全然そんなんじゃないんだ!ただ・・・その、責任とかそういう話ではないんだけど・・・けじめも必要だと思うし・・・」

「責任?お前は責任感でここにいたのか?」

「だから違うってば!」


確かに彼女のマンションに転がり込んでだらだらと居座っているのは事実だ。

だが、ちゃんと定職もあって生活費を入れているからヒモというわけでもない。

世間体を気にするわけでもない。

ただ、けじめだ。


「ねぇルルーシュ。僕と結婚したくないの?」

「・・・別に、必要だとは思っていない。」


終わった。


思わず涙が浮かびそうになる。

しかし次の言葉に違った意味で涙が出そうになった。


「でもお前が・・・今の生活が不安で、何か形として残したいって言うなら・・・籍を入れてもいい。」


思わずがばりと起き上がった。

ルルーシュは恥ずかしそうに顔を染め、なるべくスザクと目が合わないように俯きがちで黙りこんでしまった。


「ほんと・・・?」


それにルルーシュは肯くだけ。

頭が真っ白になって、どうしたらいいのか分からずにとりあえずその細い身体を抱きしめてみた。


「嬉しい、これでルルーシュと一緒になれるんだ・・・!」

「お、お前は・・・その・・・」

「うん?」

「私で、いい・・・のか?」

「うん、ルルーシュじゃなきゃ駄目。」


ぎゅうっと力を込める。

ルルーシュが苦しそうに身を捩ったがそんなのお構いなしだ。

息を深く吸い込むと彼女独特の甘い香りがした。


「じゃあ明日予定空けておいてね?」

「明日?」

「うん、病院いかなきゃ。」

「何で病院?役所とかじゃないのか?もしかしてお前どこか悪く・・・」


すっと腕の力を緩めて、ルルーシュから離れる。

不安そうにルルーシュは眉を顰めていた。

苦笑して、薄くぺたりとした彼女の腹に触れる。

その下腹を撫でてやるとルルーシュは首を傾げた。

ああ、本当に彼女は気づいてないのだとスザクは苦笑した。


「産まれるまで性別は聞かないでおこうか。そのほうが楽しみも増えるし。」


きょとんとしたルルーシュがやがてその意味を理解して。


顔を真っ赤にした後、手にしていた分厚い本でスザクの頭に鉄槌を下した。







『なっ・・・なんでお前がそんなこと分かるんだ!!!』

『半分は勘だけど、あとの半分は君の生理の・・・いたっ!』

『もう黙れ何も喋るな!!!』

『いたっ、痛いよルルーシュ!』








にょたを始めるとそればかり書いてしまう傾向があるので避けてたのですが、ついにルル子を解禁しました。
まぁスザ子を先にやっちゃってるんですけど。
とにかく甘く、砂といわずゲロ吐きそうなほど甘くを目指しました←汚
っていうかにょたの極意は妊娠だと思ってる管理人でスイマセンwww