「第一回、ドキドキ☆パジャマパーティー・・・?」

「そ!いい考えでしょう!」


どこが、と言いかけて、ルルーシュは口を噤んだ。

要するにお泊り会だ。

この年齢になってまでお泊り会はないだろうと正直思うが、男女逆転祭よりはよっぽどマシだ。

ここで下手に否定して、次挙げられる案が今より酷い案にならないと言い切れない以上、実に無難だ。

ただクラスで集まって、寝るだけ。

纏うものが制服じゃないだけ。

そもそも全寮制のこの学園において、ただ寝る場所が校舎になるだけ。


「あ、原則はクラスごとだけど、勿論ナナちゃんのサポートには全力を尽くすわ。同じ女子としてね。」


それならば問題はない。

きっとナナリーも今まで友人とそういうことができない事情があったから、今回は楽しめるかもしれない。

そう考えて、ルルーシュは「まぁいいですよ」と小さく息を吐きながら答えた。

しかしパジャマパーティといっても流石に寮にあるベッドを全てこちらに運んでくるわけにはいかない。

だからといって寝袋では何か味気ない。

・・・となれば。


「必要なのは布団ですね。」

「布団?」

「日本式の寝具ですよ。床に敷いて寝るんです。」

「なんかいいわね、それ。友達同士語り合うにはぴったりだわ!」

「見積もりは俺が立てておきます。発注はリヴァルかシャーリーにでも。」


ファイルに概算の見積もりを計算し、ルルーシュは少しだけ微笑んだ。


妹の喜ぶ顔を想像して。























「布団が足りないだと?」


リヴァルが困った様な顔でそう告げてきて、ルルーシュは手に持っているファイルを見つめながら眉を顰めた。


「発注担当は?」

「いやーそれが・・・俺なわけで。」

「足りないのは何組だ?」

「一組だけなんだよ。」


そうか、とルルーシュは呟いた。

目の前にはもう既に寝床の準備をしている学生達。

もう布団に入っている者すらいる。

たかが一組布団が足りないだけで中止に出来るような事態ではない。

そして何より、然して問題ではない。


「足りない学生には俺の布団を回してくれ。」

「え、おい・・・それなら俺が!副会長だからってそこまで責任感じることでもないし・・・」

「そんなんじゃないさ。」


ふぅっと溜息をついて、ルルーシュはファイルをテーブルの上に置いた。

仕事はもう終わり。

あとは寝るだけ。

肝心の寝床はもう確保したも同然。


「もう寝るぞ。」

「寝るってどこで!?」

「スザク」


ルルーシュは小さく名前を呼んだ。

既に布団の上に座っていたスザクが顔を上げる。

そしてスザクは微笑んで。

なんと自分の布団を捲くしあげたのだ。


「どうぞ、ルルーシュ」


え、と。

はしゃいでいた生徒達が一斉に静まり返る。

それを気にすることなくルルーシュはスザクの元まで歩いて行って、悪いなと言いながらそのスザクの隣の空いたスペースに身を滑り込ませた。

スザクが上から布団をかけてやって、一人用の布団にいい歳の男二人がすっぽり納まってしまったのだ。


「えー、と、ルルーシュさんにスザクさん?」


リヴァルは汗をかきながら苦笑いした。

視線だけを向けて然も何だ?と怪訝そうに首を傾げたルルーシュに、何だ?じゃねぇよ!と突っ込みたい衝動を必死に抑える。


「二人、で、寝るのですか?」

「布団が足りないんだろう?」

「いや、まぁそうなんですが。」

「俺とスザクは小さい頃よく一緒に寝ていたから問題ない。」

「流石にあの頃と違ってちょっと布団が狭いね。」

「お互い背も伸びたしな。」


周囲がハラハラしたような落ち着かない様子で見つめる中、あ、そうだと思いついたように声を上げたスザクがルルーシュの下に腕を入れ込む。

そのまままるで自分の二の腕を枕代わりにしてルルーシュに提供し、肘の部分から腕を折り曲げて手をルルーシュの髪に添えて、まるでルルーシュの頭をすっぽり抱きしめるような体勢にしたのだ。

さり気無くあいた方の腕もルルーシュの身体の上に這わせて抱きしめているような状態になっている。


「これならあんまり狭くないし、ルルーシュにも枕があるよ。」

「まったく・・・恥ずかしい奴だな、お前は。」


そういうルルーシュも顔を赤らめてはいるものの、抵抗する様子はなく。

大人しくスザクに抱き込まれる形で落ち着いてしまった。

なんというか、いたたまれない。

何より男女逆転祭でNo.1とも言える美しさを誇っていたのが腕の中に納まっているルルーシュだ。

スザクに抱きしめられていてもあまり違和感がないのがまた悲しい。


「首、痛くない?」

「丁度いいよ。今日は暖かいからぐっすり眠れそうだ。」


意識的なのか無意識なのか。


薔薇色のオーラを放った二人の空気に当てられて、その日ルルーシュとスザク以外は寝不足のまま朝を迎えることになった。





ピンクのお布団









リクエスト内容:一期設定スザルル、学園でパジャマパーティ。布団が足りず二人一緒に寝ることになったスザルルと周囲の反応。

二人がこういうことしても何ら違和感無いから困ります(笑)
あ、違和感無いと思うのは私の脳みそがスザルル仕様だからでしょうか…・゚・(;´゚д゚)ゞ
晴羅さま、こんなものでよろしいでしょうかっ!!@@;