本日も快晴。

チュンチュンと鳥の鳴く声が聴覚をくすぐる。

清々しい朝・・・に相応しくない砂埃が舞い上がる。

ズドドドドド・・・なんて轟音まで。

それを発生させているのは二人の男。


「なーんーで、ジノがここにいるのかなぁー!?」

「そのセリフそっくりそのままスザクに返す!」

「そもそもね、俺お前より年上なんだけど!」

「え、何の話〜?」


二人は周囲も度肝を抜かれるほどの速さで走っていた。

人間とは思えない・・・とそれを目撃した周辺住民は語っている。

周囲を土色に染める砂埃やけたたましい音も仕方ないと思ってしまうほど。

二人は息一つ乱すことなく言い争いをしながら走り続け、しばらくそうした後ある一軒の家の前で方向を急転換させた。

目当てとなるのは扉の隣にある小さなボタン。

精一杯指を一本立てた手を伸ばして。



ピーンポーン



「くそっ・・・この俺がたかがジノ相手に引き分け・・・!?」

「年取って衰えてきたんじゃないのか?『先輩』」

「こんな時だけ先輩言うな!ってか俺とお前一歳しか違わな・・・」


ガチャ


「おはよう、今日も早いな。」


顔を覗かせたのは黒髪の、これまた男。

太陽?無縁です、みたいな白い肌を黒い制服で覆った彼に、スザクとジノは言い争っていたことも忘れて微笑む。


「おはようルルーシュ!」

「おはようございますルルーシュせんぱい!」

「ちょっと待ってくれ、今鞄持ってくる。」


玄関を開け放ったまま、ルルーシュは家の中に姿を消した。

ドアが開いているから言い争ってはルルーシュに知られてしまう。

お互い言葉は発さずにスザクとジノは視線だけで火花を散らす。

やがてパタパタとスリッパで駆ける音が聞こえてきて、その眼力での争いも中断。

再びにこにこと笑った二人の元にルルーシュは鞄を抱えて戻ってきた。


「待たせた。」

「全然!」

「ああルルーシュ、荷物が多いね。僕が持つよ。」

「うわっ、猫被ったよこの人・・・いってぇ!!」


ジノが叫んだ。

それにビクリと身体を震わせて驚いたルルーシュはどうした?と心配そうに駆け寄ってきたのだが、ジノは何でもアリマセンと苦笑いするよりほかなかった。

ぐりぐりと足をスザクに踏み潰されては。

反抗しても恐らく足のダメージが増えるだけで、足のダメージが増えれば明日の朝の勝負にも支障が出かねない。

ぐっと悲鳴をこらえたジノはうっすら涙を浮かべながらもいつものように笑う。

演技力万歳。


「せんぱい、その紙袋なに?」

「ん、ああ・・・生徒会の書類がな。」


脇に置かれているのは四つの紙袋。

その中にびっしりと紙の書類やらファイルやらが詰まっている。

見るからに重そうなそれは、ルルーシュ自身が持っていこうと思っていたのか、それともスザクとジノが来るということを分かって用意していたのか。

どちらかは分からないが、前者であったならかなり無謀だ。

彼の体力の無さ、非力さは周知の事実であるから。


「ささ、こんな重いの全部ジノに任せて。

「・・・言い出したくせに自分で持たないのかー。」


ブツブツ文句を言いながらもジノは紙袋を全て軽々と手に持った。

ルルーシュの為になるのならお安い御用だと。

そして身軽になったスザクはといえばルルーシュの肩を抱こうとさり気無くルルーシュの後ろに回った。

手を出したとき、まるでそれをすり抜けるようにルルーシュは走り出す。

向かった先には荷物を持ったジノ。


「ごめんな、ジノ。」

「いいって、全然!」

「今度何か奢る。」

「それよりも先輩の手作りがいいなー!」

「本当にそれでいいのか?」


ジノが何度も首を縦に振ると、ルルーシュは「じゃあ楽しみに待っててくれ」と微笑んだ。

棚から牡丹餅とはまさにこのこと。

ルルーシュに悟られないようにニヤリと笑ったジノに、スザクは小さく舌打ちをした。











毎日毎日、スザクとジノはルルーシュを巡って闘争を繰り広げている。


今日も今日とて二人は昼休みにルルーシュの弁当に入っている玉子焼きを狙って大人げない争いをしている。

しかしそこは鈍感ルルーシュだ。

お前たち仲がいいな程度にしか思っていない。

尚且つ普通に犬同士がじゃれあっているようにしか見えず、それを微笑ましく思っているのだから重症だ。

そんな二人にちょっと職員室に行ってくると告げ、ルルーシュは一人教室を出た。

昼休みならではの賑やかな廊下を通り過ぎ、ルルーシュはひたすら歩く。

やがて人通りの少ないところまでやってきた。

職員室が近い証拠だ。

早く用事を済ませて戻ろうと、歩みを速めた時。

背後から急に声をかけられ、ルルーシュはびくりと肩が震えそうになるのを隠しながらぎこちなく振り返った。

そこにはクラスメイトの姿。

何故か顔を赤らめ、視線を泳がせている。


「どう、した・・・?」


そうルルーシュが問いかけると急にすごい力で手をひかれる。

引きずられるように人気の無い、階段の陰に連れ込まれ、壁に縫いつけられる。

何事だと言いかけたルルーシュより先に、クラスメイトは口を開いた。


「ランペルージ・・・俺実はお前のことが」



好きなんだ



そう言われてルルーシュは面喰ってしまった。

そして首を傾げる。


「俺は男だぞ?」


寝ぼけてるのか?と言いたげな顔。


「そんなことは分かってる!」

「お前も男だぞ?」

「それは俺が一番分かってる!それでも俺はっ・・・」

「えっ、ちょ、まッ!!!」


ルルーシュが焦る。

告白してきた生徒の顔が迫り、ルルーシュは硬直してしまった。

背後の壁のせいで近づく唇から逃れることが出来ない。

思わずルルーシュが目を閉じた、その時。


「あ、ルルーシュ、会長さんが探してたよ!」

「大至急だそうでーす」

「ス、ザク・・・ジノ・・・」


呆然と呟いたあと唐突に我に返ったらしいルルーシュは、俯いたままスザクとジノの横をすり抜けて走って行った。

それを見送りながら。



ボキッ。



そんな鈍い音が、スザクの拳から発せられる。


「さて、どうやって二度とルルーシュに近づけないようにしてやろうか。」

「奇遇だな、私も今丁度その方法を考えていた。」




ゴキッ。



今度はジノの拳から鈍い音が。


「初めて意見が合ったね、ジノ。」

「今回ばかりは共同戦線といこうか、スザク。」


フフフフフフフ・・・と笑いを洩らす二人に、ルルーシュに告白した男子生徒は腰を抜かした。

大きな影が二つ迫る。





SとGの仁義なき戦い







「「天誅!!!!」」





リクエスト内容:ジノ→ルル←スザクみたいな感じでジノvsスザクな現代高校生パロ
ここまで書いて初めて分かりました。
私、ジノの喋り口調がよくわかりませんwww
今までどうやってジノルル書いてたんでしょうw
miyuto.さま、こんなものですいません@@;